年々フリーランス人口が増えている中で話題の一つとしてよく見かけるのが未経験フリーランスです。
特にスキルのない状態から、あるいはスクールや専門学校を卒業してすぐにフリーランスとして独立するキャリアステップですね。webデザイナー、エンジニア、ライター、映像制作などを志す方などの中で度々話題になっているところを見かけますが、実際のところどうなのでしょうか?
会社員、副業、専業フリーランスといずれのキャリアも経験してきた私の目線から所感を紹介させていただきます。
基本的にはおすすめしない
未経験やスクール卒業後すぐにフリーランスになるのは、基本的にはおすすめしません。
この後詳しく述べていきますが、一般的には未経験だと案件の獲得ハードルが高く、低単価かつハードワークになったり、成長機会を失うことになる可能性が高いなどの理由からです。
おすすめしない理由①:仕事の受注ハードルが高い
まず、最も想像しやすい理由としてシンプルに仕事が獲れません。当然ですがスキルや経験がない人に発注しようとする人は少ないからです。
何か強みを持っているわけでなければ単価を下げたり、土日や夜間などでもすぐ対応できるように稼働調整したりなど「誰でもできるけどやりたがらない」ことを強みにしてセルフブラック化していくルートを選ばざるを得なくなりやすいです。
なおかつ、発注側の気持ちとしては経験の浅い人に創造性が求められるチャレンジングな仕事を渡すのは心配なので、成長に繋がりにくい単純作業などを振られることが多いと思います。
初期は単純作業やアシスタント業務が多くなるのは会社員でも同じだと思いますが、会社員だと先輩の仕事を見て学ぶこともできますし、良心的な会社ならその後のステップアップのことも視野に入れながら仕事を振ってもらえます。
フリーランスだとそういったステップアップは自分で工夫していく必要がありますが、 独立初期の手探りかつどんな仕事でも受けて目の前の仕事をこなさないと明日食べるお金にも困るような状況下で長期的なステップアップも見据えて立ち回るというのは会社員と比べて難易度が高いと思います。
おすすめしない理由②:キャリア初期は会社員の方が稼ぎやすい
ある程度経験を積んでくると会社員よりフリーランスの方が稼ぎやすくなる場合も多いのですが、逆に経験やスキルが乏しい段階だと、稼ぎも会社員の方が良くなりやすいです。
会社員の場合、最低賃金があるのでよほどのブラック企業でもなければ最低でも10万円台後半〜20万円程度の月収は約束されます。
しかし、フリーの場合は最低賃金という概念はありません。①で説明した理由も相まって十分な予算がある案件は獲得できない可能性が高いので、時給換算したらアルバイトした方がマシかも?という単価の案件をこなすところからスタートする可能性が高いです。
フリーランスとしての収入が会社員の収入を追い越すには早くても1,2年はかかる場合が多いと思いますので、キャリア初期は収入面でも会社員を選択した方が良いと思います。
おすすめしない理由③:業界の基本を学べない
今は個人でもある程度学習できる環境が整ってきてはいますが、とはいえ現場を経験しないと学べないことは多いです。
どういう工程で仕事を進めるか、プロはどういう点に気を配って仕事するのか、クライアントとのコミュニケーションはどうするのか、どんなツールをどのように使っているのか、、
こういったことを独学で調べるのと、実際にその目で見て体験するのとでは理解の解像度が大きく変わってきます。
業界経験のない状態からだと様々な情報が溢れている中で自分に必要な情報の取捨選択や優先度付けも難しいので、一度しっかりとした会社に入って現場を体験した方がそういった知見を積みやすくなります。
おすすめしない理由④:フリーランスの自由さを享受できない
フリーランスといえば時間や場所の制約なく自由に仕事をできることも大きなメリットの一つです。
就業規則がないので週3,4と休んだり好きな時に起きて好きな時に仕事をする、なんて生活だって実現可能です。
…が、それは単価を上げるか収入を仕組み化して少ない稼働でも収入が確保でき、スケジュールも余裕のある仕事だけを選べるようになってからの話。
生活に余裕がなければ週6でも週7でも働かざるを得ないのもまたフリーランスです。
経験やスキルがない状態での独立だと日銭を稼ぐのもギリギリで自由を求めている場合じゃない状況になる可能性が高いです。 スキルや経験が身につくまでは成約率も上げづらいので営業や広報活動にも多く時間をかける必要が出てきやすいですし、条件の悪い仕事でも他に選択肢がなければ引き受けざるを得ません。
なので、未経験からだとむしろ週2の休みが約束されている会社員の方が自分の時間をしっかりと確保しやすい場合が多いと思います。
おすすめしない理由⑤:リスクヘッジが難しい
フリーランスの場合、受注した案件の責任は全て自分にあります。
案件でトラブルを起こしてクライアントに迷惑を掛けてしまうと支払いが減額されたり、最悪の場合は賠償責任を負わされてしまうケースもありえます。
また、トラブルとまでは行かなくても蓋を開けたら想像していたよりもやることが多くて採算が合わない、ということも往々にしてあります。
そんな状況にならないように受注前に必要な対応を細かく想像しながら見積もりをしたり、自分の責任範囲や起こりうるリスクをクライアントに説明してリスクヘッジをしながら商談を進める必要があります。
しかし、こういったリスクヘッジは経験に基づいて行うことが多いので、経験の乏しい分野だとどこにリスクが潜んでいるか想像を働かせるのはかなり難しいです。
私も今でこそその辺りのリスク管理が得意と言われることも増えてきましたが、その背景にあるのはキャリア初期に経験した大量の失敗です。
お恥ずかしながらキャリア初期には見積もりが甘くて実現できないスケジュールを約束してしまい、先輩にフォローに入ってもらったことも何度もありました。
会社員だからと言ってこうした状況が許されるわけではないですが、とはいえ会社であればある程度リスクやトラブルに対してフォロー体制があります。
しかし、フリーランスの場合だと自力で間に合わせることが難しくなれば例え赤字になってでも誰かにヘルプを依頼したり、最悪どうにもならなければ最初に述べたように減額や打ち切り、状況によっては賠償責任に繋がる事態となる可能性があります。
もちろんそうなるとお金の問題だけでなく、クライアントや関係者にも多大な迷惑をかけてしまうことになります。
そんな最悪の事態を避けるためにも、ある程度の経験を積むまでは会社に所属して経験を積む方がおすすめかなと思います。
おすすめできる場合もある
ただし、未経験からフリーランスになるのもおすすめ、もしくはおすすめとまでは言わないまでもありと思えるケースもあります。
そういったパターンもいくつかご紹介していきます。
おすすめできるケース①:既に実務でも評価されるスキルや経験がある場合
前半で挙げたおすすめしない理由は、あくまで取り立てたスキル・経験がない方を前提としています。 例えば、
- 学生時代から個人での仕事実績が豊富にある場合
- 異業種からの転職で、本業以外で既に実務レベルのスキル経験を持っておりそれも活かす考えの場合
- 元々趣味としてその分野に関わっており、既にSNSなどで評価されている場合
などのケースでは未経験から独立してもすぐ成功できる見込みがそれなりにあると思います。
すでにスキルや経験があるので、フリーランスとしての立ち回りさえ身につければ、短期間で会社員よりも稼いだり、評価を得られる可能性があります。
おすすめできるケース②:すぐに取り組まないと時期を逃しそうなビジネスアイデアがある場合
いわゆる先行者利益が取れそうな分野に参入しようとしている場合ですね。
フリーランスになるということは小さな事業主になるということでもありますが、事業にはタイミングというものがあります。
例えば、聞いた話ではインターネット黎明期には今なら5万円でももうちょっとマシなサイトを作れる人が見つかりそう、というようなクオリティのサイトが100万円単位で取引されていたこともあるようです。
2024年1月現在であれば、例えばAIなどの分野は今は有効でも2,3年後には価値がほとんどなくなってしまうアイデアが沢山ありそうな気がします。
もしこういった今だからこそ成功できる分野に参入しようと考えている場合は、就職して修行を積んでいる間にチャンスを逃してしまう可能性もあるのですぐに独立するというキャリアも選択肢に入ってくるかもしれません。
ただ、そういった分野はすぐ普遍化しまうことも大井ので、その分野で稼げなくなった時に次どうするか、は予め考えておいた方が良いと思います。
おすすめできるケース③:ベテランの年代からキャリアスタートをする場合
考え方によってどの年代で線引きするか分かれそうですが、一般論としては35歳前後でしょうか。
未経験からの就職・転職の場合はその時点のスキル・経験よりもポテンシャルをアピールして採用してもらうことが基本になります。 しかし、ポテンシャル採用となるとどうしても吸収率が高く、今後化ける可能性の高い20代に軍配が上がりやすいです。
そのため、一定の年齢以上で未経験就職を目指そうと思うと就職活動が難航したり、やっと就職先が見つかってもいわゆるブラック企業だった、ということが多くなってしまいます。
もちろん30代後半や40代以降でもしっかりと戦略を練って準備すればいい会社に就職できる可能性はありますが、中々険しいルートになることは覚悟した方がいいと思います。
なので、ある程度ベテランの年代に差し掛かってから未経験の分野にチャレンジする場合は、ずるずると仕事をしていない期間を延ばしたり、ブラック企業ですり減って時間を無駄にしてしまうより、すぐに仕事をスタートして経験を積めるフリーランスの方が長期的に見て効率的な場合があります。
独自のフォローアッププランは立てておく
ただし、前半に挙げたおすすめしない理由がなくなるわけではないので、その点に関しては独自の工夫で補強することが望ましいと思います。
今は書籍などの昔ながらの学習方法に加え、SNSなどを通じてノウハウや考え方を発信するトッププロも増えてきているので、そういった発信から吸収していくのも有効だと思います。 おすすめしない理由③で書いたように中々公の場だと知れないこともあると思うのでそういった方が参加するリアルイベントなどがあれば参加して交流を持てるようにしてもいいかもしれません。
採用となると会社側もその人のキャリアを背負う責任や長期的に給与を支払い続ける分のリターンがありそうかなど経営判断が入ってくるのでシビアなジャッジを下されますが、決してその人を応援していないわけではないです。 そういった場で節度を持って質問や相談をすれば快く答えてくれる方も多いと思います。
おすすめできるケース?:誰が何と言おうがフリーになる!という場合
厳密に言うとおすすめはしないのでちょっと見出し詐欺かもしれませんが、ここまでに挙げたデメリットを差し置いても自分はすぐフリーランスになりたいんだー!という強い意志がある場合は一回やってみてもいいと思います。
一度やってみてダメだったら就職、でもいいですしね。
フリーランスで一番大事なことは、さまざまな情報に耳を傾けつつも最後は自分の意思で判断すること。 結構フリーランスや経営者で活躍している方って周りに対して従順すぎるよりも多少一般論とずれていても自分が正しいと思った道を貫き通している人も多い気がします。
人にもよるかもしれませんが、やってやる!って気持ちがあると外から見たら難しい状況でも前向きに乗り越えるアイデアや気力が浮かんできたりすることもあります。
なので、いろいろな話を聞いても自分は最初からフリーランスの方が良いと感じる場合は、その選択肢もありえるのかなと思います。
ただ、むやみに背水の陣を敷く必要はないので、一定期間報酬がなくても大丈夫なように行動する前に十分な貯金をしておくとか、もし異業種からの独立で既に所属している会社があるなら辞める前にまずは副業でどのくらい通用するか試してみるとか、なるべく。
追い込まれることでパワーを発揮する人もいるのかもしれませんが、個人的には一定の余裕は大事だと思います。
貯金がないと長期的に取り組むべき投資的な行動が取りづらいですし、焦りから本来なら断るべき案件をつい受けてしまったりといったことに繋がるケースもよくあるので。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
未経験フリーランスは中々険しい道ですし、一部の例外を除いてはあまりおすすめできるルートではありませんが、最終的には自分の判断です。
ぜひ後悔のないキャリアを送っていただければと思います。
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今回の記事を見て副業やフリーランスにチャレンジしようと思った方も、まずは就職・転職して会社員になろうと思った方も、まずは行動を起こすことが大切です。
フリーランスを目指す場合、副業を始める場合
まずはクラウドソーシングなどで腕試ししてみることがおすすめです。
クラウドソーシングでは日々多数の公募案件が登録されています。
クラウドソーシングでの仕事獲得は主に公募案件への応募と、自身のスキルを出品して問い合わせを待つ方法の2通りに分けられます。
公募案件への応募
公募案件にはさらに以下の2種類があります。
- お題に対して成果物を提案するコンペ形式の案件
- 自身の経歴やポートフォリオなどをPRして採用され、発注後に作業を開始するプロジェクト形式の案件
未経験の場合はこれまでの経歴・実績から選ばれるプロジェクト形式の受注は中々難しいので、
これまでの実績よりも成果物で評価されやすいコンペ形式の案件にチャレンジして自身の評価を確かめてみるといいと思います。
自身のスキルを出品
もう一つの方法として、自身のスキルを出品するやり方があります。
Lancersやcoconalaでは上記のように自身のスキルをパッケージとして出品することができます。
記事のライティング、バナー作成、映像編集、できることをパッケージとして出品しましょう。
多くの出品がある中で選ばれるパッケージを作ることは大変かもしれませんが、丁寧に内容を作り込めば可能性はあると思います。この辺のコツもそのうち記事にしたいと思います。
まずは会社員を目指す場合
就職・転職するなら求人媒体を活用して企業に応募するかエージェントを通じて就職活動を進めていくなどの方法がメジャーです。
しかし、就職活動は業界ごと、職種ごとに重視されるポイントが異なるのでこういった媒体やエージェントは闇雲に選ぶのでなく媒体ごとの得意分野を見極め自分に合ったサービスを利用することが大切です。
特にWeb、映像、広告などフリーランスを目指す方の多い業界は一般的な就職転職とは重視されるポイントが異なることも多いです。
ですので、目指す業種業界や仕事内容に精通した就活サイトやエージェントを探してみましょう。
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業界で人気のある企業への求人も取り揃えており、マーケティングやクリエイティブ職を目指す人に寄り添った転職支援をしてくれるのが特徴です。
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文系就職と理系就職だと異なるコツが必要となるケースも多いので、理系の価値観に寄り添ったサポートをしてくれるというのは心強いです。
もちろん、それだけでなく面談を通じて、あなたの特性にも配慮した転職支援をしてもらえます。
また、紹介される企業は離職率や残業時間調査、OBへのヒアリングなど、いくつかの基準を通過した企業のみとなるため、いわゆるブラック企業は紹介されない仕組みとなっています。
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